第6話「音の魔法使い:モニタースピーカーの秘密」

陽菜の部屋に、また新しい機材が届いた。今回は、小さめのスピーカーだ。

「ひなちゃん、これが音楽制作には欠かせないモニタースピーカーよ」美樹が説明を始める。

陽菜は首をかしげる。「モニター?テレビみたいなやつ?」

美樹は笑いながら「違うわよ。これは音楽制作専用のスピーカーなの。普通のスピーカーとは違うのよ」

「へぇ、どう違うの?」

「音楽をより正確に再現できるように作られているの。曲作りには、音の細かいニュアンスまで聴こえることが大切だからね」

陽菜は興味深そうに聞いている。「ふーん、すごいね!でも、なんで『モニター』っていうの?」

美樹は少し考えてから答える。「それはね、音楽を『監視』するような感覚で使うからよ。自分が作った音をしっかり『モニター』する…つまり、確認するの」

「なるほど!」陽菜は目を輝かせる。「じゃあ、大きいのがいいんじゃない?」

美樹はにっこり笑う。「そうね、本当は大きいのがいいんだけど、やっぱり爆音が出るから近所迷惑になるでしょ?」

「あ、そっか!」

「それに、ちょっとボリュームを上げれば大音量になるから、スピーカー自体の本気が出せないのよ」

陽菜は少し混乱した顔をする。「本気が出せない?」

美樹は考え込んでから、「そうねぇ…例えば、ひなちゃんの足が爆速だったらどう?」

「え?」

「ちょっと走り出したら新幹線みたいなスピードが出る体だったら。全力出す前に壁にぶつかってしまうでしょ?笑」

陽菜は吹き出す。「なにその例え!」

美樹も笑いながら続ける。「それは本気になれないってことと同じ。いいスピーカーだったとしても良さを十分に発揮できないってわけ」

「へぇ〜。なんとなくイメージできたかも」陽菜がうなずく。「だから小さいのからスタートってことね」

「そうそう、その通り!」

美樹は別の箱を取り出す。「あと、これも大切よ」

「これは…ヘッドホン?」

「そう。これも音楽制作専用のものなの。夜に作曲するときに使えるわ」

陽菜の目が輝く。「わぁ、夜中に作曲できるんだ!」

美樹は優しく微笑む。「そうね。でも、睡眠時間は大切にしてね」

「もちろん!」陽菜は嬉しそうに頷く。「ねえ、早速つないでみていい?」

「いいわよ。じゃあ、接続方法を教えるね」

美樹がモニタースピーカーとヘッドホンの接続を始める。陽菜は熱心に見ている。

「ねえ、お姉ちゃん。このスピーカーとヘッドホン、どっちが音いいの?」

美樹は少し考えてから答える。「どちらも大切よ。スピーカーは部屋の音響も含めた全体的な音を聴くのに適しているわ。一方、ヘッドホンは細かい音の確認に向いているの」

「へぇ、使い分けるんだね」

「そうよ。プロの人は両方使って確認するのよ」

陽菜は感心した様子で聞いている。「すごいなぁ。私もそんな風に聴けるようになりたい!」

美樹は優しく頭をなでる。「大丈夫よ。少しずつ練習していけば、必ず聴こえるようになるわ」

接続が終わり、美樹がスイッチを入れる。優しい音楽が流れ始める。

「わぁ…」陽菜は目を閉じて聴き入る。「なんだか、今まで聴いてた音楽と違う気がする」

美樹はにっこり笑う。「そうでしょ?これが『正確な音』っていうものよ」

陽菜は目を輝かせる。「すごい!早く曲作りたくなってきた!」

「その意気よ!でも、まずは色んな曲をこのスピーカーで聴いてみるのがいいわね。音の違いを感じ取ることから始めましょう」

陽菜は大きくうなずく。「うん!頑張る!」

新しい機材が加わった陽菜の部屋。それは単なる勉強部屋から、小さな音楽スタジオへの第一歩だった。壁に貼られたアイドルのポスターが、まるで陽菜の新たな挑戦を応援しているかのように輝いて見えた。

今回のおさらい

モニタースピーカーとヘッドホンの基本:

  1. モニタースピーカーとは:
    • 音楽制作専用のスピーカー
    • 通常のスピーカーより正確な音の再現が可能
  2. モニタースピーカーの選び方:
    • 初心者は小さいサイズから始めるのがおすすめ
    • 大きすぎると音量調整が難しく、性能を十分に生かせない
  3. ヘッドホン:
    • 音楽制作専用のものを使用するのが望ましい
    • 夜間の作業や細かい音の確認に適している

覚えておこう!

  • モニタースピーカーは音楽制作に欠かせない機材
  • 環境に合わせたサイズ選びが重要
  • ヘッドホンも併用すると作業の幅が広がる

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